Veryのカバーモデルが、タキマキ (https://www.instagram.com/makikotakizawa/ )
さんから変わりました!
実際に、女優の井川遥(2007〜2016)→ 読者モデルの滝澤眞紀子(2016〜2019)→専業モデルの矢野未希子が2020年に就任。
ここのところ界隈で話題になっていたのは表紙をかざるカバーモデルではなく、Very専属モデルになった申真衣さん。
申真衣(しんまい)さん、東大経済学部卒にして、VERY専属モデルにして、女児の母にして、ゴールドマンサックス10年を経てベンチャー企業の社長。つんおぃw pic.twitter.com/lRpH64V9st
— 涼子@マッチングアプリ結婚 (@r40kk_com) 2020年2月13日
どうでしょう、なんというパーフェクトさ!!
ビジュアル偏差値と実際の偏差値がそれぞれ76ぐらいです。東大経済もただでさえすごいけど、特に11年目でGSのマネージングディレクターの経歴は生半可な献身では勝ち取れません。こんな人日本にいるのか。ベンチャーの社長の方がまだ楽なのではないか。
いるけど見たことなかった、しかもビジネス誌じゃなくて女性誌に出てくるの??そういう衝撃です。「Crazy Rich Asians」のアストリッドかよ!という。
一通り興奮してしまいましたが、こういうパーフェクトな女性を推してきた、2020年のVery編集部の思惑というものに下記から触れていこうと思います。
タキマキ世代つまりロスジェネ世代を見送った編集部
光文社のドル箱(広告という意味で)であるVeryは、95年の創刊当時からターゲットを「既婚女性」としています。ここは三浦りさ子がカバーモデルとつとめた「シロガネーゼ」全盛期から揺るがないのですが、2007年から今尾朝子編集長体制に変わり、2015年の20周年には働くママを支えるパパに向けた広告を出して話題になったりしました。
もともと社会問題や福祉などの取り上げ方にも力を入れている雑誌で、ファッションから子育てまで幅広くカバーしているライフスタイル寄りの誌面ではあったのです。
(今尾編集長ご自身も、2014年に育休復帰しワーキングマザーとなりました)
ここで2016年からカバーモデルを務めた滝澤眞紀子さんのプロフィールをみてみます。
- おそらく2001年新卒
- 大学4年生で現在の配偶者と結婚 (「社会に出た生意気な女性になって欲しくなかった」とする夫の意向とされる)
- 3人のお子さんあり(全員20代で産んでいる)
- 31歳でVery編集部にスカウトされる(それまでの約10年間は専業主婦)
- 夫は11歳年上のアパレル長者(SNSにも誌面にもよく登場する)
- 「お母さん業が大好き」とご本人の談
ここすごく大切なんですけど、タキマキさんはおそらく2001年新卒で、いわゆる「就職氷河期世代」であることです。求人倍率貼っておきます。
う!!目が痛い!赤字が目にしみる!!
2000年と2001年の突出した酷さ。どんなに優秀でも採用されなかったという伝説の時代。
私の肌感でも、この就職氷河期世代の人たちの有職率って高くないです。特に女性は、ほとんどが専業主婦なんですよね。知る限り。働けてる人は本当にごくごく一部。日本は新卒社会なので、ここでキャリアの最初の一歩を踏まないとなかなか難しい、それは就職氷河期の優秀な先輩方の悔しさや嘆きの声からも実感しています。
そういう背景を踏まえてみると、ロスジェネ世代の勝ち組像、つまり憧れと共感でもって見つめられるのはタキマキさんのような専業主婦からのシンデレラストーリーなんだと思うのです。
そして、専業主婦を選ばざるをえなかったロスジェネ世代とともに、Very編集部が見送ったものを次で想像していきます。
Veryを通り過ぎた「昭和のお父さん」世代
専業主婦をメインターゲットとしていながらも、編集部は抜かりなく「イケダン」とか切り口を変えながらパパの育児家事参加率の低さを問題提起してました。
が、それはそれで今ある読者層やタイアップ広告を失うわけにはいかないので、あまり過激なことは言えない、そのギリギリを探ってきたのだと思います。
そこで今回のパーフェクト申真衣さんの家庭を、彼女自身のインタビューから探ってみました。
- おそらく2007年新卒
- 結婚5年目、お子さん1人女の子
- Veryデビューのきっかけは元部下の義姉が編集部にいたこと
- 家庭では食器洗い担当の夫(食洗機がないと生きていけない)
- フェミニスト宣言をしている
- 保育園の送りは夫と2人
- 学生時代に頑張ったことを「勉強」といえる強さ
注目すべきは夫です。まだまだ30代ゆとり世代には劣るものの、かなり育児と家事の関与度が高い。タキマキさんの夫が「金は僕が運ぶから、家の中は君に任せる」という昭和のお父さんスタイルであったのとは対照的ですね。
そうです、つまり今回カバーモデルが変わったことに伴い、大きくVery編集部が変えてきたのは子の有無でも職の有無でもなく、「ターゲットの配偶者ペルソナ」だとおもうのです。家事育児に関わらない夫を完全に外してきたのではないかと。
またもうひとつの要素があるとすれば、女性誌と競合するInstagramでしょう。
「輝きたい」読者モデル予備軍にとっては、わざわざ女性誌の編集部に取り上げてもらわなくても、自分自身でセルフブランディングができて自己承認欲求を満たせる手軽なツールです。タキマキさんがカバーモデルに就任した2016年からの2年間でIGの月間アクティブユーザ数はほぼ2倍となり、全世界で10億人を超えました。誰もがSNS上で自分のアカウントを持つことができるようになった時代。
逆に言えば、SNSに露出しない人を探すのがものすごく難しくなった時代といえるのかもしれません。そこでInstagramとの差別化を図りたい、というのも編集部の狙いなのかもしれませんね。
ともあれこれからは、共働きがデフォルトの時代。それに沿った新しいママパパ像を見せてくれるのでしょう。あいかわらずの強さを見せるVeryの媒体資料をマイクがわりにステージに置いて、いったん去ることにします。
http://www3.kobunsha.com/ad/very/baitai/pdf/very_media2019-2020.pdf
-------------------------------------