医薬品副作用被害救済制度から見る、「脳静脈洞血栓症」になった話

ところで、星野源さんは2012年にくも膜下出血で倒れ、手術入院されたときの経験を「よみがえる変態」(文春文庫)で書き記しています。

彼は脳外科、私は脳血管ですが、頭の痛みの表現にはとっても相通じるところがあり、読んでるだけで痛みが再現されるほどの筆致。

音楽映像だけじゃなくて、才能の塊かよ。星野氏にはクレーム申し上げたい。

 

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回復後、星野源さんのその後のご活躍は誰もが知るところ。

私自身、病後の復活および活躍にあやかりたいと思いつつ、無理はしない範囲で「死んだと思ってたら残機あった1UPキノコ」の精神でこれからも生きて励んで参りたいと存じます(キリッ)。

 

2021年5月に入院・手術した、脳静脈洞血栓症。その後通院、服薬しつつ過ごしています。まだ全快ではないものの、8ヶ月後の2022年2月現在ではほとんど日常生活を取り戻しており、仕事もプライベートも気ままにやらせていただいております。幸せ。

 

今回は、

医薬品副作用被害救済制度

について、私自身が経験したことをまとめていきます。

 www.nta.go.jp

 

 

まずは簡単に経緯を。

私は10代から生理が重く、長男出産し仕事復帰後に「やばい。息子になんの非も無いのに生理前イライラしすぎる。このままだと手が出るかも…」という危惧を感じ、婦人科にPMS(生理前症候群)による不調の軽減のために、ピルを処方してもらっていました。

娘の出産後も仕事復帰前にあわせて服用を再開したので、そういう意味では私のキャリアと子育てを30代通して支えてくれたお薬で、ピルには非常に感謝しています。副作用被害のあともその思いは変わっていません。

 

今回私が入院手術した、脳静脈洞血栓症は、ピル(バイエル社のヤーズフレックス)服用の副作用によるものです。

 

ピルを処方の際も副作用については医師からきっちり説明を受けてます。しかし、ま、さ、か、自分の体にその、副作用が起こりうるってのは雲をつかむような気持ちだったんですよね。後から調べたところ10万人におよそ9人ほどの発生とされ、あまりの確率に「0.009%になるなんて…」と感慨に耽ってしまいます。宝くじかよ。今ギャンブルやったら勝てるんじゃ?

 

とはいえ、下記のwebサイトにもあるように、副作用ってのは薬を正しく使っていたとしても絶対に無くすことのできないもの、なんですなー。だからこそこういった救済制度ができたわけで。

 www.pmda.go.jp

 

また、副作用で入院するほど重篤になるケースってなかなか世に少ない例と思いますので、そういった意味からも私の個人的な事例をまとめておこうと思った次第であります。

 

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入院中(2021年5月)

薬の副作用ならこういう制度あるよ、と夫の知人に教えてもらい情報収集開始。主治医の先生に相談。

 

8月5日

退院後2ヶ月強、副作用被害救済制度に申請するために用意していた書類が整ったので投函。

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1)手術した脳血管内科の主治医による所見

2)ヤーズを処方したかかりつけ婦人科の医師による投薬経緯

3)本人による申請書類

上記3点のうち、1は入院中にお願いできたのだが、2は回復してから自分でかかりつけ医に診察してもらわねばならずこれが地味に辛かった…。

たぶん一番大変だったのは1で、手書きでびっしりと書類を埋めてくれたのとMRI等裏付けとなるデータを用意してくれたの本当に大変だったと思う。当時の主治医に感謝。

 

8月18日

不備を知らせる書類が書留で届いたので、書き漏らしてたところを補って投函。

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この後、夏休みで飛行機を利用する予定があり、事前の確認で医師に問題ないとは言われてたものの「血管大丈夫なんかな?」とドギマギしつつフライトへ。頭は相変わらず痛いけど、行動範囲が狭まらないということで、結果オーライ!

「まさかダイビングとかはまずいですよね?」って聞いた時の主治医の顔で、察した()ので、しばらく潜水は控えます…。息子がやっと10歳なので一緒に潜れるのだがやむをえん。。

 

9月12日

受理そのものはされたというお知らせ。

追加資料と承諾書を書いて返送。投函。

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10月12日

補足資料を、主治医と処方医それぞれに回答してもらったので、これにて書類の工程は終了。審議へ。

主治医は秋の異動タイミングで経験積むために別の病院に移るということだったので、ここまでお付き合いいただいてありがたし。

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2022年1月14日

審議に入ってから約3ヶ月、医療費・医療手当決定通知書が郵送されました。

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これでやっと!

副作用被害が認められたんだわ、というはれがましい気持ち。いや、よくよく考えるとめでたいことでは無いんですが、ワクチン含めて昨今は副作用の話が海千山千なので、こういう合理的な裏付けがあるってのはなんか肯定されたような感傷的な気持ちになるもんですね。

これは自分でも不思議。

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以上、医療品副作用被害救済制度を利用した個人的所感と記録でした。

日常生活はほぼ以前と変わらないまでに戻ったと冒頭に書きましたが、まだ血栓が全て無くなったわけではないため、いわゆる「血液をサラサラにする薬」を服用中。内出血・下血含めて出血すると血が止まりにくい、ということだけ気をつけて生活を送っています。スキーはさすがに控えたり、怪我しかねない動きは避けるようにしたり。

 

生理に関してはいまだ重く耐え難い…。

ヤーズフレックスは飲めなくなったので、PMS軽減を目的にしたお薬としては、ジェノゲストを服用しています。血液サラサラお薬を卒業したら、ミレーナ入れたいなあと思って婦人科のかかりつけ医に継続的に相談中です。

これからも薬とうまく付き合っていくつもり、なのは変わりません。

 

<入院編はこちら>

 kurihashi64.hatenablog.com

 

<退院後編はこちら>

kurihashi64.hatenablog.com