半病人から1/3病人へ、「脳静脈洞血栓症」になった話

 前回のブログ(↓)から1ヶ月ほど経ったので、私の備忘も兼ねてブログを更新。

 

kurihashi64.hatenablog.com

 

以下は、入院してた重病人が、退院したのち半病人を経て、1/3(さんぶんのいち)病人ぐらいになっていく経過です。

 

退院後1日目(2021/5/26水曜日):無事に退院。

水曜日は小学校から帰ってくる時間が早く、久しぶりに子どもたち、特に母親の不在に自覚的であろう息子の顔をみるのを楽しみにしてた。帰ってきた息子は「ママおかえりーー」といってベッドに寝てた私に飛びついてハグした後、秒で「僕友達と約束あるから!」と玄関を飛び出していった。そろそろ10歳になる男児にとって母親ってそんなもんかね。

保育園から帰ってきた娘も反応薄め。前からそうだったけど、すっかりパパっ子に。

 

退院後2日目(2021/5/27木曜日):

退院したもののまだまだ頭が痛いのはもちろん、立ちくらみや視界が揺らぐため辛いので横になるか、寝ている。

息子氏が朝から39度の発熱。小学生になってからほとんど熱出してないのでこれはマズイのでは?と焦る。正直起き上がるのも歩くのも辛いが歯を食いしばって自宅から徒歩5分の小児科に連れて行く。最初はカンピロバクター系を疑われたが、最近息子の食べたものを私が満足に答えられないのとひどい顔してたらしく、小児科の先生に「お母さんは大丈夫ですか?」と聞かれる。

正直に昨日退院したばかりの脳血栓症であることを伝えると、状況的に知恵熱でしょうと診断された。その後先生が息子の目の高さに腰をかがめて「君のお母さんはもう大丈夫。急にいなくなったりしない。君が熱を出したらこうして病院に連れてきてくれる」と言ってくれ、息子はなんか真剣な顔でウンウン頷いていた。知恵熱ってオイ。。

 

退院後3日目(2021/5/28金曜日):

息子の熱は下がったけど、念のため学校を休ませる。一緒のベッドでくっついて寝たり、他愛もない話をしたりした。

夫は自分が食事の用意をしばらく1人でになっていたこともありカンピロバクター説を支持していたが、熱が下がったのを見てホッとしたよう。私の入院中、息子と一緒に馬刺とかラムステーキとか生焼け気味のハンバーグを食べていたことはよくわかった。

一方で病院食に慣れた私は、なかなか脂質や塩の効いたものが食べられず。

この日は休前日ということもあり、午前中は半日、リハビリ勤務(ボスによる命名)と称して自宅で2時間ほどリモートワーク。ディスプレイの見え方がかなり辛いこと、座る筋肉が衰えていて椅子のうえで姿勢を保てないこと、集中するとしばらく頭が痛くなることなどを実感。

午後休みなので保育園まで娘を迎えに行く。左右確認するときに頭を振る動作と目のピントがあやしいため自転車に乗れず、杖代わりにベビーカーを押して娘の保育園へ。夫が出勤で不在なので、嫌がる息子に保育園お迎え付き添ってもらう。

久々の親子3人。

 

退院後4日目(2021/5/29土曜日):

もろもろ懸案であったのと、今回の原因であるピル(ヤーズ)を処方してもらった婦人科へ。先生に事情を説明すると「大変でしたね」と。ピルは数年飲んだけど自分の生理前/生理中のトラブルを救ってくれた薬なので、血栓症になった今でも非常に感謝みが強い。

もともとピルは40歳になると飲めないため、38歳の俺氏は今年入ってから(頭痛で入院する前に)先生と今後どうしようかと相談していたこともあり、血栓症リスクのない今後の月経困難症の治療を相談する。ついでなので婦人科系の検診もいくつかしてもらい、今後、医薬品医療機器総合機構に提出するための投薬・使用証明書の記載もお願いする。

 

ちなみに、厚労省が2014年に出している「月経困難症治療剤ヤーズ配合錠による 血栓症について」(下記のpdf参照)によると、

https://www.mhlw.go.jp/www1/kinkyu/iyaku_j/iyaku_j/anzenseijyouhou/310_1.pdf

平成25年 6月に,本剤との因果関係が否定できない血栓症による1例目の国内死亡例(20代)が報されたこと を受け,製造販売業者は,症例紹介及び血栓症に関する注意喚起を目的とした医療関係者向けの資材を 同年8月より配布しました。

とあります。この例はpdf読むと出てくるのですが、要はピル処方されてたことと頭痛や吐き気の因果に気づけず、5つの病院を巡ったにもかかわらず、処方14日目にして亡くなってしまった20代の健康な女性が1人、2013年にいたということなんですよね。

 

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彼女ともうひとりの屍の上に、画像のように注意喚起がなされるようになり、そのおかげで医師もひろくピルの副作用を疑えるようになり、結果、今回わたしの命が助かっているという事実。

(ちなみにこのカードサイズのリーフレットは、私がピル処方された数年前にもらったもので、お薬手帳に挟んであったもの。頭痛で入院した段階ではこの存在すら忘れておりました)

 

患者が常に医師を選べるとは限りませんが、 ピルの服用によって血栓症を起こす割合は、1年間に1万人がピルを服用すればそのうち9人、死亡する人に至っては10万人に1人の割合と言われているので、COVID19のワクチンにおける副反応と同じように「リスクとベネフィットを天秤にかけて判断すること」が大切になってくるという話ですね。

 

ちなみに、脳静脈洞血栓症英語圏ではイニシャルとって CVST とされ、アストラゼネカのCOVID19ベクターワクチンの稀な副反応として、医療情報がざっくざく検索にひっかかる病気。

 

Alila Medical Media の動画>血栓の詰まり方わかりやす!

youtu.be

 

今のところ、副反応の確率は10万人に1人とされてるので、ピルより全然低いやん。

jp.reuters.com

 

で、何が言いたいのかというと、今回の私の病気の原因は薬害であって、ピル飲んでる女性は多少関係がある話なんですよね。

なのでこうやってブログにあけすけに、事細かに書いてたり、副作用被害救済制度を使って僅かながらでも医療に役立ててもらおうと考えていたりするわけなのであります。

はい。

 

退院後5日目(2021/5/30日曜日):

術後なので当たり前だけれど、目がよく見えないので、メガネのレンズを調整しに出かける。脳血管科と同じ病医院の眼科にもかかってるので致命的なものはないのだろうけれど、それでもこんだけ見えないと辛い。レンズ調整してもらって右目、左目はそれぞれ見えたような気もするけれど、やっぱりピントがあわない。起伏や遠近を見逃すのでしばらく遠出はできないなと落ち込む。

一方で、一度でも歩いたことのある道は、地面のアンジュレーションに想像がつくためわりとスイスイいけることがわかったので、本当に脳みそって偉大だなと感服する。ただし脚力が衰えているため、500mから1kmあるくのが1日の限界とわかった。

 

 退院後6日目(2021/5/31月曜日):

この週は半休とったり早めにあがったりしながら、平日5日間リモートワーク。

入院前から週4リモートワークではあったものの、辛くなったら横になってパソコンぽちぽちしたことはなかったので、改めてリモートワークの偉大さを実感。とはいえ、集中したり、話したり、議事録とったりするとそのあとドッと疲れが出る。入院中にメンバーがすばらしくフォローしてくれててありがたさのあまり泣きたくなる。

家事はほとんど夫にしてもらいつつ、きったない子ども部屋をハアハア言いながら片付けたり失われたプリントを発掘したり、トイレやお風呂の掃除したりした。

ワーファリンという、血の凝固をおさえる薬を目一杯飲んでるため、出血や内出血が危険。よって包丁握るのはしばらく夫にお任せすることになっている。もともとあんまり料理はしないけれど、夜食事作らなくていいのは心理的に楽。

そのかわりセブンプレミアムにお世話になる日々。

 

退院後10日目(2021/6/4金曜日):

結婚記念日的な文脈で、入院するはるか前、つまり3ヶ月前から予約していたレストランにランチに。

夫が気を遣ってタクシー手配してくれたが、減速や加速時にペダルを連続的に踏み込むタイプのドライバーさんで、頭が揺さぶられて超絶気持ち悪く、嘔気を催す。辛すぎて後部座席でシクシクと泣くしかできなかった。

そんな最悪の気分で入店したレストランだったけど、最高のサービスと料理ですっかり元気になる。ポーションを減らしてもらったけどデザートも堪能。命の洗濯。

アルコールを出してないせいか、コロナで外資リーマンが接待遣いしないからなのか、はたまたインバウンドが消えたからなのか、客層がすっかり変わっていた。満席だけど客単価下がってるんだろうなあ。。

 

一方、入院してもたいしてダメージを受けていないと思われていた娘氏。だが、母の入院中から朝の登園しぶりがあったそうで、私が帰ってきてからほぼ1週間でそれがおさまったそう。(朝は夫が保育園の送り担当なので私は把握してなかった)

かわりにというか、朝保育園に行く前に「きょうのおむかえはままだからね」ってご指名いただくようになった。朝保育園いって帰ったらママがいなくなった17日間の経験を踏まえて、もうすぐ3歳になる彼女なりの再発防止策なんだろうなと。

めごい。

 

退院後16日目(2021/6/10木曜日):

退院後初の外来診察へ。MRI久々に受けたけど、過去2回より閉所の恐怖を感じた。そう感じるほどには回復してるってことなのだろうけれど。

主治医の診察結果は「前回より良くなってはいるけれど、まだ全部の血管が流れているわけではない」とのこと。

いつも医師に聞きたいことを忘れちゃうのでメモ帳を持参して先生にいろいろ聞く。COVID-19 のモデルナ社ワクチン受けられる見込みがあったのでワーファリン飲んでる私でも受けられるか聞くと「もちろん大丈夫。むしろ接種前2週間で発熱すると受けられないのでそっち心配したほうがいいですね」とのこと。ホッとする。

この病気がいったいいつ頃治るかとかそういう見込みみたいのは答えてくれない(医師はみんなそうらしいが)ので、現状がどうなってるのか、血管内の血液がどれくらいスムースに流れてるのか具体的に尋ねてみる。

ワイ「10割ってことはないでしょうから、8〜9割?」

先生「うーーーーん」

ワイ「えっと、7〜8割ぐらい?」

先生「うーーーーーーーん」

ワイ「6〜7割ぐらいですか(諦め)」

先生「うん、それぐらいですね」

。前回からよくなってそれ?? 今日この時点で3〜4割まだ流れてないってことよね?一番酷かった時どんくらい流れてなかったの??と疑問が脳を駆け巡ったが、混乱をきたしてきたので先生に尋ねるのはやめた。なんか聞くの怖いし。

先生によると、MRIに前回見えなかった血管が白く写ってるので血管が新しくできてるんだろうとのこと。

。血管って新たに作られるものなの??すごくないすか?人体の不思議ですやん!とひととおり自分がもりあがって診察時間が終了。血管新生っていうらしい。

 

病院の窓口に寄って、医療保険の保険金請求のための書類をお願いする。

頼んだあとから料金みて、おーーとなる。た、た、た高い。さすが専門職に一筆かいてもらうお値段だぜ。

 

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病院の行き帰り、はじめて電車を使ってみたけどなんとかなった。徒歩もゆっくりいけば新しい道も歩けることがわかってすこしホッとした。

 

退院後19日目(2021/6/13日曜日):

数年ぶりに、ピルなしの生理。

1週間〜10日前ぐらいからだるさの山がきて、自分を制するのが難しいほどにイラついてしまう。普段は怒らないような、全体から見れば些細なことで息子を叱りつけてしまう。

生理が来る前後は、鎮痛剤が効かないほどお腹が痛くなるし仕事の生産性下がる。経血の量がとにかく多くてだるい。月経困難症(PMS)ってこんな辛かった?と打ちのめされる。

あーだめだこれ、婦人科のかかりつけ医になんらかの薬を処方してもらおうと誓う。

 

退院後24日目(2021/6/18金曜日):

 山あり谷ありだけれど、少しずつ回復してきたので、試しにオフィス出勤してみることに。

人混みでもうまく歩けるか、オフィスのある52階までエレベーターや気圧などで気分悪くならないかの二点をを検証したかった。大事をとって半日だけだったけど、時間に余裕さえあればなんとかなることが分かった。

ホッとした。

 

退院後29日目(2021/6/23水曜日):

脳血管科と同じ病院の眼科へ。

退院から約1ヶ月ということもあって、眼底検査や撮影してもらう。見立てとしては、術前や術後の影響でむくみや出血があり、それがまだ良くなってないとのこと。とはいえやれることはなく、様子見るだけとのこと。

私の体内の血管さんと血液さんに日々頑張ってもらうしかないってことですね。

うん、マイペースに行こ。

 

というわけで、退院後の1ヶ月間をつらつら書きました。

個人病院の学閥の見分け方とか、ネットのレビューの一つ星をどう見るかとか、保険の話とかしたい話もあるのですがそれはまた次回にしておきます。