Game of Thrones (GOT)が完結しちゃいましたね…
私事で思うところがあり、しばらくの間更新をお休みしてましたが、この「きのう何食べた?」8回を視聴してやっと、やっと、自分の中で区切りがついたことがあり、久しぶりにその個人的な感傷も含めてレビューを捧げようと思います。
<演技の力、俳優の力>
私はマンガ芸術を愛する人間なので、時間の制限上や分かりやすさのために登場人物の描写を画一的なものに収めようとする日本のドラマが、実はとっっても苦手です...。
迷ったり、失敗したり、後悔したり、葛藤したり、前後の行動が矛盾していたりするリアルな人間の姿を、大人向けのドラマではほとんど描かないように思うからです。
水戸黄門とか某半沢とか失敗しない人とかのドラマを思い浮かべると伝わりやすいかと。孤独のグルメもいってしまえばそうなのですが、「パターンとして完成されていれば、人物描写は後回し」という主義が嫌いなのかもしれません。。
一方で、私がGame of Thronesを愛する理由は、主人公たちの失敗やそれに伴う選択をモウヤメテーというまで描き続けること。そして脇役の面白みです。それぞれの人生と信念をセリフで多くを説明せず、行動や緻密な表情と演技で見せてくる。そういうドラマのつくりが好きなのです。
何が言いたいのかというと、今回のテツさんとヨシくんは素晴らしかった!!ということ。
この回に登場するテツさんとヨシくんのカップルは、原作では小日向・ジルベールカップルより早く登場しています。
原作通りの順番にエピソードを消化しないということは、何か制作側の思惑やこだわりがあるんだろうなと思って見始めました。
当然このシーンは頭に浮かんでいます↓↓
ここ!この台詞。マンガではたった1コマです。
ドラマでは中盤にたっぷり尺を使って、ほとんどほかにカメラを移さず、優しそうなテツさんに語らせます。
「ぼく...ぼくが、、、あの。(あごを動かしながら)歯を食いしばって貯めた。金を。
すいません(胸のあたりをさする)。。。いわ、田舎の、両親に。。。。
びた一文渡したくないです」
視線を落として、不安のために絶えず体のどこかを揺らしながら絞り出すように放ったこのセリフの重さ。
このシーンを見ただけで、今までテツさんが負った理不尽や人生の苦しみ、敬わなければならない親から受けたであろう仕打ち。一緒には暮らせないけれど一生をともにできるパートナーと出会えても打ち消せない、許せない、そういうものがこの59歳の男性の人生に静かに横たわってるのだと、ブワッーと感情の波が頭に流れ込んできます。
そうだった実写にはこういう魔法の力があるのだと、久しぶりに思い起こさせてもらうような体験でした。
特に、家族との関係に苦しんでる人には、このシーンほんとに沁みたんではないでしょうか。少なくとも私はこのシーンを思い出すだけで、ダメです。
自分のためではない涙ですが、目から汁がとまらなくなる。
<日常と人生が交互に訪れる構成>
シロさんが作る毎日のごはんが日常だとすると、今回のテツさんヨシくんがもたらしたのは人生の選択です。
このドラマとマンガのすごいところは、日常の連続性と非現実性をごはんを介してうまくまとめたところ、それに尽きると思います。
人生ドラマだけでは重たいけれど、かといってご飯の繰り返しだけでは軽すぎる。そういうバランスが交錯してひとつのエピソードに結実する、その妙味なのではないかと。
特に今回はそういう作品の構造を最大限に利用した、今までで一番心に残る回でした。俳優さんも脚本も素晴らしかった。
役回り上の受けの演技に徹した内野さんが達者で、コメディすぎず真面目すぎずこちらもすばらしかったです。
↓このツイートに全くの同意↓
https://twitter.com/mthh_u/status/1131951648803151878
来週は放送お休みとのこと。
心にぽっかり空いた穴は、イベント開催のお知らせで塞がれました。
渋谷いきますから!
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