マイリー的なるものの出自としてのフィオナ・アップル

子どもも4歳になると自分の時間が戻ってくるもんですね。保育園さまさまです。
さて、お題はセックスシンボルの世代交代です。

今年のVMAもすごかった!
テイラー/ニッキー/マイリーのビーフ(ののしり合い)が事後も話題になっていて、ジャスティンがプレッシャーのあまりパフォーマンスのあとに泣き出した件なんてこれっぽっちもインパクトないす。

私が個人的に惹き付けられたのがマイリーのファッション。
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http://www.elle.co.jp/fashion/celeb/vma2015_tonikakuakaruimileycyrus15_0902
この抑制の効いたPOPに既視感があったんだけど、どうやらジェレミー・スコット(現モスキーノのクリエイティブディレクター)の手によるものらしい。ストリートをギリギリ下品にならずにファッションに昇華する手腕がすばらしい。

上の世代のセクシーの代名詞リリたんことリアーナは、出自そのものがエスニックだった上、売り方もミステリアス(ダンスパフォーマンスは滅多にしないし、ダークな世界観のMVが多く、スタイリストもモード寄りであること)で、どちらもセクシーを内包にしている要素だった。
彼女に対して、ディズニーアイドル出身のマイリーは「セクシー」を表現するのに非常に苦労したと思う。
ディズニーアイドルから脱皮した例としては、ブリトニー&アギレラ両先輩の好例があるものの、ブリちゃんの「Slave 4 you」でもアギレラの「dirty」でもない、誰かの2番煎じじゃなく彼女の世代ならではの「セクシー」を表現しなければならなかったから。
彼女が脱皮したのは、裸のMVで話題になってめちゃくちゃパロディの対象になったWrecking Ballではなく、「We can't stop」だと思うの。

冒頭はフィオナ・アップルを彷彿とさせるけど、後半がもう突き抜けた明るさのパーティーソングで、フィオナのダウナーな魅力とはきっちり線を引いている。ぬいぐるみのモチーフとか、パーティーのけだるさとして室内の表現とか、水の使い方とかは完全にインスパイアされてるけど、それはこの際偉大なるパロディという整理にしておく!2つMV見比べるとおもしろい。

ブロンド(わかりやすいアメリカ美人)がセクシーを表現する場合、こういったダークな世界観やサブカルチャーの猥雑さに頼りがちだけど、マイリーはそれを明るいアプローチでなし得たというのは、近年まれに見る成功だね。人生を謳歌してくれマイリー!